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独立して2年、仕事もちょっと落ち着いた頃、僕はアウトドアライフに没頭していました。…

好きな「モノ」の第3話は、これまたクルマネタです。1991〜92年頃、独立してはじめたデザインの会社も法人になったり、スタッフが入ったりとちょっと落ち着きがでてきました。仕事は当初の不眠不休(大袈裟に聞こえるでしょうが、本当に2年間は寝ませんでしたし、休めませんでした)状態をやっと脱し、最初は日曜、その次は土日と休みがとれるようになってきていました。そうすると元来の山屋の色気が出てきまして、土日の休みはキャンプに、釣りにと駆け回ることになります。この頃、第1話に出てきたHONDA S600も健在でしたし、フォルクスワーゲン・ジェッタも中古で手に入れ、これでキャンプ道具を積んで山に出かけていました。そんな時、なにかの雑誌で、このクルマでアウトドアライフを楽しむ人の記事を読み、その洒落たライフスタイルに憧れてしまいます。そうなると悪い性分で、もうルノー4で一色。犬もいましたので、これを後ろに積んで、屋根にフォールディングカヌーを乗せて…と思い描き、イラストなんか描いた覚えがあります。調べると名古屋に新車で販売している業者があり、即刻連絡したところ、相手も猿もの引っ掻くもの、名古屋から営業マンが次の日くらいに飛んできまして、見積書と一緒に下に載せたカタログを持ってきました。カタログにはピレネーズマウンテンドッグのような犬が2頭、並んで乗っている絵が描いてあります。もうこれで決まり、「思い描いた絵の通りのことができるやんか」と、契約しちゃったんですね。

あっ、こんなところに!?

納車されてしばらくして、ある業界人の女性を載せました。彼女はクルマの免許がなく、もちろんルノーなどと言うクルマはとんと御存じありません。ぺらぺらのドアをあけて乗り込んでくるなりの彼女の一言。「あっ、素敵ですね、このクルマ。こんなところに傘がある!

そうです、ルノーのシフトノブはダッシュボードから運転者に向かって真直ぐに「にょきッ」と生えています。そのグリップ部分がかさの柄にそっくりなんですね。乗っていた方ならわかりますよね、彼女の勘違いも。

ミイラ取りがミイラに。

それから2年くらい乗りました。良いクルマだったんですが、クーラーが弱点です。もともとクーラーなど搭載する予定のないクルマです。そこへ無理矢理イタリア製のデルビ(だッたと思う)というクーラーをつける訳です。たしかウォーターポンプのシャフトかラジエターファンのシャフトからベルトでコンプレッサーをまわしますがこれがいけない。クーラーなんかまるで効かないくせに、そのクーラーのコンプレッサーをまわすために無理な力が加わる。僕の4は2年目にはウォーターポンプのベアリングが傷み、音が出ていました。結局、この4はその次のクルマ、シトロエンBXの購入のため下取られていきます。皮肉ですよね、シトロエン打倒!のため開発されたルノー4がシトロエン購入のために下取られたのですから。ミイラ取りがミイラに、と言う訳です。ルノー4のデザイナーが聞いたら怒るかな?

今回はここまで。第4話へ続く

 

 

 

renault 4 GTL 1991年頃

4サイクルOHV、排気量 1108cc、1961年から1992年まで生産されていた超寿命車。シトロエン2CVをライバルとして開発され、初のハッチバックタイプ量産車といわれる。僕が乗っていたのは1991年製のポルトガル工場生産の最終版。新車価格は140万円くらいだったかなと。インドでもヨーロッパでもまだまだたくさん走っています。

第3話「ルノー4(キャトル)の新車が買える最後の年だった」