第4話「ロスからメキシコへ 爆走ムスタング ナビをけちるな!」

アメリカへ行った理由、それはロータリアンだから。

これを読んでいる方の中には「ロータリー・クラブ」を御存じの方もおられるでしょう。僕はその「ロータリー・クラブ」の会員です。で、「ロータリー・クラブ」は年に一度、国際的な大会が行われます。2008年度はアメリカのロサンジェルスで6月に開催されました。私もロータリアン(ロータリークラブの会員の事をこう呼びます)の端くれですので、はるばるアメリカまで行って参りました。まあ、その大会の内容は別の機会にするとして、一緒に行動した友人「Kちゃん兄イ」とのメキシコへの爆走ムスタング」の旅の話をいたしましょう。

飛行機の中から変だった。誘発剤とチクロンB。

関西国際空港を出発して香港でトランジット、ロスへ向かった訳ですが、もちろんと言うか当然と言うかエコノミーです。10時間以上のフライトですので、なかなか長丁場です。友人のKちゃんは「オレ、睡眠誘発剤持ってるんですよ。これでぐっすり眠れますぜ」と言い、行程の半分を過ぎた頃から睡眠誘発作戦を実行したようです。ところが「あかん、全然眠くならんわ」と、御法度のビールとの併用に至ったのでした。しかも連続2錠の服用。いや、効果覿面ですね!さすがのKちゃん(もと国営警備会社勤務)も寝入ってしまったようです。僕は、反対側の隣に座っていたM先輩ロータリアンの「ガス攻撃」で眠れませんでした。マスタードガスかイペリットガスかチクロンBかという強力なガスですもの。話を戻してこのKちゃん、寝ながらその隣に座っていた中国人のお嬢さんの肩を抱いて寝ている!しかもこのお嬢さん、もうすぐ結婚するという相手の住むカナダへと向かう途上なのに。たいしたもんや。で、いよいよ飛行機がロスへ着くと言うのに、このKちゃん、本格的に睡眠誘発剤が効きだした模様、スッチャデスさんが起こそうが何をしようが起きてこない。まあ、飛行機はふらふらになりながらもなんとか降りる事ができ、入国も青い顔のままで審査をパスしたようです。さすがアメリカは懐が深い、ヤクをしてるンと間違われても仕方の無さそうな顔色の真っ青でほとんどしゃべれないもうろうモードの日本人を入国させるんやから。

さあ、いよいよメキシコへ!ナビをけちるなよ、ナビを!

堅苦しい大会参加の話はさておいて(僕とKちゃんの二人が本大会に出席したかどうかは永遠の謎)、ホテルのバジェットレンタカーのカウンターで車を借りてメキシコへ行った話をしましょう。

借りた車はムスタング、それもシルバーのオープン!豪勢だぜっ!で、カウンターのお嬢さんが「ナビ、どうします?4000円やけどつけときませんか?」と言ってくれたのに、「そんなもんいらんわい!」と断った訳です。理由は、簡単な地図がタダでもらえたから。これが失敗だった。

ロスからメキシコへハイウェイを飛ばすのですが、距離にしたら片道250キロくらいです。運転手はKちゃん、車掌は僕だ、と、とりあえず走り出したんですが標識だけじゃ道がわからん。いつも目印にしている生駒山や通天閣も大阪城もない。バジェットのカウンターでくれたタダの地図は、簡単すぎてさっぱりわからん。あっちはどこ、こっちはどこどこと英語で書いてあるが、その地名を知らない。しかも標識に日本語が書いてない。しかもアメリカの車は結構なスピードで走っています。140キロくらいかな。そんなスピードで走っている車から知らない地名を読み取れるかいな!あっちへ行ったりこっちへ行ったりしながらなんとか、サンタフェへ車を向けることができました。それも途中で1000円以上する地図を2枚くらい買ってなんとかなったんです。最初からナビをけちるなよ、ナビを!ほんとにおバカなコンビであります。

アメリカンは陽気やねっ!

西海岸沿いをメキシコへ向けて走るのですが、ここは景色もサイコ−、そのせいかハーレーのツーリンググループも多い。で、信号で止まると、こっちがオープンだからか、口径の大きいレンズの一眼レフカメラでプロに見えたのか知りませんが、バイカーはみんな手をふったり、声を掛けてくれるんです。僕もその気になり、立ち上がったりして写真をとりました。ねえチャンもビッグツインのハーレーに乗っていて、やっぱりスケールがでかいですね。ついでにバストもビッグツインですし〜。

ソンブレロとギターで決まり。おばはんの帽子は買いません。

Kちゃんと行く前から「メキシコに入ったらこうしよう!」とい決めていたことがあります。メキシコに入ったらソンブレロ(例の山高帽です)をかぶってギターをかかえて写真を撮ろうと決めていました。これをするために国境を超えたんですから。

国境は歩いてメキシコ側へと入りました。アメリカ側は美しいけどメキシコ側はちょっと汚れてるかな、て感じです。国境には入国ゲートがありますが、これは天王寺動物園にある一方向にだけくるくる回るゲートです。「僕は証拠写真をとるから先にKちゃん、はいってや」ということで彼は突入、僕はこの時点で帰ったろか、と思いましたが、ま、そこはやはり大人のつきあいとうことで彼につきあいました。ゲートを2つ潜るとそこはメキシコ。ガヤガヤとした街なみがいかにもって感じです。タコスやらお土産やらを売る店がずらりと並んでいます。進んでいくと、帽子を売っている店がありました。Kちゃんがおばはんに「これいくら?」と聞きます。買う気は最初からないと思いますが、とりあえず「なんぼにしてくれるん?」「高いわ、負けてーな」「まだ高いわ、ほないらんわ。そっちはなんぼ?」と攻撃を加えます。もちろん全部日本語で。しかしメキシコのおばはんは強い!攻撃に全然怯まず、「これ似合うで」「こっちもええで」「これぴったりやな」とスペイン語で応酬。で、全部Kちゃんの頭にかぶせてしまう。実はKちゃんは写真でもわかるように、リーゼント、オープンカーにはアメリカの日ざしは強く、おでこが真っ赤に焼けていました。そこへ無理矢理おばはんが帽子をかぶせるもんだから、「いたいやんけ、おばはん、やめんか、しやからおでこが日焼けして痛いていうとるやろ!」と怒るわけです。でもおばはんは、あいかわらずスペイン語で「ほなこれはどうや?安イで」「これにするか?まけとくで」と、守備から攻撃へ移る。で、この勝負はえんえんと続いたのであります。ふたりで勝手にしといてちょうだい。

そんなことしていたら時間がなくなり、ソンブレロとギターでの撮影大作戦は実行されずに終わりました。

再入国

アメリカへの再入国は荷物とパスポートのチェックがあります。僕は紳士だからごくすんなりと通過。女性の係官だったのでお話までしたりして。ところが、Kちゃんは「荷物を全部出せ!」と入国職員に言われていました。あやしいからな〜。それと、彼はなんでか韓国人と間違われるんですよね。僕はそのフェンディの怪し〜いサングラスがあかんとおもうねんけど。Kちゃんどう思う?

帰路は山の中のハイウェイを走りました。何度か間違えながら。夕焼けに向かってロスへ走るのですがこのシーンは印象的でした。広い広い赤茶けた大地の中を片側4車線の道路が突き切っていて、前の車の赤いテールランプが夕焼けの中、きれいに映える。アメリカを走ってるんだなあと実感する瞬間です。

ロスへ帰りついたのはもう夜。ガソリンゲージの針が全くのEをさしていました。バジェットレンタカーのカウンターでは「ガソリンは満タン返しですさかいに!」と、最初に釘をさされていたけれど、ガソリンスタンドで現金が使えない。全部クレジットカード対応です。また、僕のクレジットカードが使えない。入れたとたんに「べ〜」と吐き出される。後でわかったのですが日本のクレジットカードは薄いらしいです。だからテレフォンカードとかをはさんでいれたらいいのだ、とか聞きましたがほんとかなあ。また現金が使えないのは、給油機に現金があると盗むために機械ごと壊されるので、クレジット対応のものが多いのだとか。さすがアメリカ。

しかし理由はどうであれ、ガソリンが入れられない。ロス市内に入ってから針がぴたっとメーターの底まで落ちて動かなくなってしまいました。給油を促すアラームも点灯しっぱなし。それでもKちゃんはまったく動じず「車なんかガソリンなくなっても走るんですよ」とのたまう。あんた、大物やわ。けどやっぱり走らんと思うけど。昔のCMにあったよね、「クルマはガソリンで、走る、モノです‥、♪の〜んびりゆこうよお、おれたあちいわあ」これ知ってる?Kちゃん。

ホテルに帰ってから、たった二日間でなじみになってしまったダニーカちゃんのいるステーキハウスへ行って、ビールの杯をあける毎にロスの夜は深まっていくのでした。それにしてもダニーカちゃん、元気かな?あんたのお店のTeriyaki-steakおいしいね!

今回はこれでおしまい。第5話へ続く

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バイクもバディもビッグツインのねエちゃンライダー、陽気やねっ!
入ったら二度と戻れない(?)一方通行のメキシコ入国ゲート
この絵はロス爆走(爆笑?)を記念して描いたものです。Kちゃんはおでこが日に焼けて真っ赤になっている様子も克明に再現しました。
国際大会本会議場で 会場にはきちんと行ったんですぜ。
ロスへ戻る夕焼けのハイウェイ。
さすがアメリカの空は綺麗やね。ビバリーヒルズの街で
ダニーカちゃんのいるレストランで。ダニーカちゃんげんきかな?それにしてもKちゃんは女性と見るとすぐくっつきたがる。もうちょっと離れんかいな、もうちょっと。