木材保存技術を訴求するためのモデルハウスデザイン
コシイプレザービング大阪本社
日本の住宅建築は豊富な木材に裏打ちされた木造建築が主流です。木材は、運搬に軽く、強度に優れ、その内部にCO2を固定します。同時に木材はその特性から、日本古来から受け継いだ繊細で美しい意匠を成す建築技術のベースになっています。しかしこの優れたマテリアルも生物由来の物である故、「劣化」するという宿命下にあります。この劣化するマテリアルに高耐朽という特質を与え、長期間に渡って優れた木材の特性を維持できるように取り組んでいるトップ企業がコシイプレザービングであり、このモデルハウスは、大阪本社の敷地内に建てられました。
構造材「緑の柱」と外構材「パーマエクセル」、内装材「潤無垢(じゅんむく)」で新たな住宅デザインを考えました。
木材に加圧注入処理というタンクのなかで木材に高圧をかけて薬剤を浸透させる技術を用いて、高耐久性や割れ、変形を防ぐ寸法安定性を加えた無垢の木材が基本になります。木材が直接人の目に触れる外構材や内装材はこれらに木材保護塗料などを組み合わせ、美しさと高耐久性の両方の特性を与えます。魅力的な意匠を作れたのでは、と考えています。
木材保護塗料「デリカプルーフ」の醸し出す「うるし」や「カシュー」に類する質感
わたしは、この保護塗料の美しさに新しい建築意匠の方向を見出せると考えています。光沢があり、かつ木材の質感が感じられる表面処理はそう簡単に手に入らないからです。うるしは扱いが難しく、カシューは耐久性に欠けます。ピアノ塗装にも通じるこの木材保護塗料「デリカプルーフ」が持つ意匠性をふんだんに活かしたものとしました。
デリカプルーフ 光沢が美しい木材保護塗料
木材の高耐久性と応用の可能性をアピールするために一般と異なる手法でデザインを進めています。
外壁には真壁(しんかべ:柱が露出している)と湿式工法で作られた大壁(おおかべ:柱が壁に隠れて見えない)が混在して構成されています。もちろん普通の家ではセオリーに反するデザイン手法です。
また、内装の壁面は部分的にシースルーになっいて、普通は建ててしまってからでは見る事のない壁内部に使われる「緑の柱」が見えるようになっています。
エクステリアにはこの新技術の木材の提案ができるように留意しました。
モデルルームのエクステリアにはコシイプレザービングの技術でのみ可能となる無垢木材を使ったフェンス、デッキ、水道栓、カーポートの床敷、しかゲート等がふんだんにレイアウトされています。
これまでの外部の木材使用は素朴な味わいのデザインの方向性しか得られませんでした。具体的には枯れた味というか、簡単にいうと木地を活かし木理を出すと、つやがない仕上げになってしまいます。また、何年か後には木材本来の美しさや丈夫さを維持できなくなりました。デザイナーは施主様に対して「これが木材の風合いです」と但し書きを入れ、劣化を納得してもらっていたのです。
このモデルルームにデザインされているアイテムはどこにもないものばかりです。いつまでも美しく、つやがあるというか、ハレの気があるといいますか、この仕上げに負う所が多いと思います。木材と保存技術の融合点で優れたデザインを行えたと自負しています。
現在、小社のオフィス兼自宅でもコシイプレザービングの技術を使った木材でデザイン設計を進めています。(建築中、2009年6月完成予定)基本的にはリフォームですが、大工さんやタイル職人の「手」を応用したデザイン提案ができるように設計し、モデルルームとして機能させるように考えています。
また、インド、プネ市でもコシイプレザービングの技術を使って、和風テイストのゲストハウスを計画中です。インド人建築家のMr.Rajendraとコラボレーションでデザインを展開しています。