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いつかはWLA45と思っていました。

このハーレーは、大戦中の軍用モデル、WLA45です。民間型WLの陸軍型ということでARMYのAが付与されたものです。1940年から製作され、45年まで大量に調達・使用されました。ヨーロッパでの対ドイツ戦が終わり、大平洋の島々での日本軍との戦争にはバイクは向かないので、15000台が民間に放出されました。現在でも、意外と数があるのはそういう理由からです。中学生の頃に戦争の記録映画でこいつを見てから、いつかは…と思っていました。丁度そのころ、タミヤから1/35スケールの小さなWLAのプラスチックモデルが発売になった時には、うれしくて何台も買ってならべて楽しんでいました。

ハンドシフト+フットクラッチ+手動進角はもうたいへん。

乗りこなすのは大変です。まず手動進角って御存じでしょうか?プラグに点火するタイミングは、今はすべて自動ですが、このころは自分でスローの時と早く回す時とで調整します。これが右手のグリップについています。またクラッチは左足で踏んで断続を操作します。おまけにミッションは左手でタンクの横のレバーを操作します。

発進してすぐに右か左にに曲がらなければならない交差点を想像してください。信号が青になる、右手のグリップを回して電気位置を進角、同時にスロットルを開けてエンジン回転数を高め、左足でクラッチを踏んで、左手はハンドルから手を離してニュートラルからローへシフト、当然右足片足しかついていませんから、よたよたできない。発進してすぐにセカンドにシフトアップ、右手はスロットルと進角、左手はシフトレバーに、左足はクラッチ操作、右足はブレーキをふんでスピード調整して…あっt!もうまがりかどをすぎちゃった!

ふう…。書くだけでしんどい。しかしこれがもしも坂道だと、ずりおちないようにフロントブレーキも握っておかなければならない…   ここまで読んでくれてありがとう。こんなに大変だと言うことだけご理解いただければと。

ええ、たいへん苦労しましたよ。実は…。

さて、実はこの写真のWLAはイタリア製の1/9のプラスチックモデルを製作して家の前で撮ったものです。なんちゃってWLAですな。真剣に読んでくれた方、誠に申し訳ございません。でもわかっていた人もおおいでしょ?それにしても苦労はしましたよ。

全長20センチほど、でもスポーク張りは実車より手間がかかります。

バイクのモデルで面倒臭いのが、スポーク。樹脂では細さに限界があり、実感をそこねます。だからこのWLAは0.4ミリのピアノ線に張り治してあります。ホイールのセンターを出さなくてはならないので、実写のスポークはりと同じ方法で芯をだし、ニップル(口金)も分解したラジオの極細のリード線の皮を使って1本1本のスポークに取り付け、再現します。両輪で1週間くらい根を詰めないとできません。でも完成した時の実感は格段に良くなりますので、目を真っ赤にして頑張るのでありました。

また、バックミラーや、ケーブル、テールランプやバッテリーの配線も真鍮線やアルミ線、洋白線、鉛板などで置き換えて再現します。ついでにサイドスタンドなどにかかっているスプリング類は極細のピアノ線を真鍮線に巻き付けて作り直します。フェンダーのステーなどもすべてアルミ板から作り直し、車載の短機関銃「トミーガン」も負い革(スリング)を真鍮板から作ったり、銃本体もほとんど作り直してしまいました。

高校生の時に一度このキットを作ったことがあったのですが、いつかは再チャレンジして、ぜひまともなモノとしたかったんです。

以下に掲載したのが制作途中の写真です。

 

ま、今回は笑ってお許しを。第8話へ続く

 

 

 

Harley Davidson WLA45 1942年型 750c.c.のサイドバルブエンジン、3速ワイドレシオミッション+フットクラッチ+ハンドシフトで乗りこなすのには慣れが必要です。市販型のWLを軍用向けにモデファイしたものですが、ラフロード走行には低い地上高と、はずれやすいチェーンが弱点です。私のWLA45には着いていませんが、頑丈なリヤキャリヤと革製のパニアバッグが装備されていました。

第6話「大戦型ハーレー WLA45は念願だった」