三頭の娘たちを相手に奮闘する「犬(いぬ)型人間」の「かあちゃん」のエッセイです。どうぞ読んでやってください。文字が小さくて読みにくかったら、ブラウザの「文字の拡大」をしてみてくださいな。

犬の話 第29話 「いつかはこんな日が来るとわかっていましたが…」
りぼん ブルマスチフ 花も恥じらう(?)乙女 2005年1月25日生まれの当家の三女。名前は「リボンの騎士」の主人公、サファイア王女から。一日中寝ている巨大なわんこ。2013年4月9日に亡くなりました。ありがとう、りぼん。
うらん ラブラドールレトリバー 2000年4月16日生まれの当家長女。名前の由来はもちろん鉄腕アトムの妹ウランから。「ごはん」と言えることが特技です。(ほんとに言えるんですよ!)
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ぴのこ ゴールデンレトリバー2001年12月生まれの当家次女。名前はブラックジャックのおくたんのピノコから。食に執着し、ボール探査の超能力を持つ。

いつかは、こんな日が来るのだと判っていました。
うちのりぼんちゃんはブルマスチフで超大型犬です。超大型犬は体が大きいのに、心臓がそれほど大きくないので、短命だといわれています。けど、うちのりぼんちゃん に限っていつまでも元気なんだと思っていました。だって、これまでもとても元気だったし、子宮蓄膿症という病気にもなりましたが、きちんと復活していたし…。そんなうちのりぼんに限ってお別れの日が来るなんて考えてもいませんでした。下の写真は、お別れの日の半年前に、三重県の海に遊びにいった時の元気なりぼんです。はじめて見た海に、かあちゃんを引きずって浜辺から突進したりして、ほんとうに元気な様子でした。

それは、春のある日、この年は早いサクラの開花もあって、もうサクラが散っていた頃です。りぼんは数日前から子宮蓄膿症が再発して、とうちゃんとかあちゃんに抱えられて、お医者さんに通っていました。毎日点滴と注射をしてもらい、そのおかげで排膿もうまく進みだし、後は食欲がもどって、それで回復するんだよね、と、とうちゃんもかあちゃんも信じていたのです。
でもある朝、お別れが突然に訪れました。
りぼんの命の灯が”ことり”と突然に、しかしとても静かに消えたのです。私たちは、動かなくなったりぼんのおおきな体をなんどもさすり、揺らし、時には叩き、目を開けさせようとしましたが、命の火が消えたりぼんは二度と動かなくなり、徐々に体が冷たくなっていきました。
あんなに暖かだったのに、りぼんの体は手や足や耳の先から順にとても冷たくなっていきました。正確にいうと、その瞬間には、もう手足が冷たかったのです。夜中にかあちゃんが気になって起きたとき、もうりぼんの大きな手足は冷たくなっていました。今、思えば、この夜、りぼんはとうちゃんやかあちゃんの寝ているお布団にこずに、ひとり板敷きの部屋で寝ていました。布団に入って来ないなんて、これまで一度もなかったことでした。りぼんは自分の最期を知っていたのかもしれません。
亡くなったその後、かかりつけのお医者様に、このことをこれまでのお礼も込めて言いました。お医者様は、「心不全をおこしたんやね」と私に告げました。
それから何日間、何週間、とうちゃんとかあちゃんは泣いたでしょうか。なにをしても、なにを考えても、出てくるのはりぼんの想い出だけです。思い出は涙と一緒によみがえります。まだ元気な二頭のおねえちゃんわんこを抱きしめて、ほんとうに泣いてばかりでした。
それで、私たちは、悲しみに耐えきれず、ふたたび新しいわんこを迎えました。寂しくてたまらなかったのです。この話はまたしばらくしてから書きます。

もうひとつのお別れ 「はなちゃん」とのこと

りぼんには、血のつながった姉の「はなちゃん」がいました。このホームページを見てくれて、はなちゃんのかあちゃんが連絡をくれたのです。はなちゃんとりぼんは同じブリーダーさんのところで生まれたことが判りました。(顔が似ていると、はなちゃんのかあちゃんが連絡をくれて、それで姉妹だと判ったのです。これも不思議なご縁です)下の写真が、22話に登場のはなちゃんのお顔です。

りぼんが亡くなったあと、はなちゃんは、はなとうちゃんと、はなかあちゃんといっしょに、我が家に訪れてくださりました。はなちゃんはりぼんとお顔がそっくり!そんなはなちゃんの姿に、りぼとうちゃんもりぼかあちゃんも「りぼんがかえってきたみたいだ」と喜びました。何時間もりぼんの両親とはなちゃんの両親はいろんな話をしました。とても楽しい時間でした。下の写真は、はなちゃんが我が家のりぼんにお参りに来てくれた時のものです。ビスケットを狙ってます。

そのはなちゃんが、つい先日、夏まっさかりのある日に亡くなったそうです。はなかあちゃんから連絡をもらったのです。電話の向こうで、はなかあちゃんは泣いていました。わたしも泣きました。ついこのあいだ我が家に来てくれた時はほんとに元気だったのに…。あれからたった3ヶ月で亡くなるなんて。
我が家に来てくれたとき、初めて私たちを見たはなちゃんは、緊張して吠えてました。なのに、用意していたゆでたまごを見ると、我が家の玄関先でおいしそうに食べてくれました。そのときのはなちゃんの顔が忘れられません。ゆでたまご好きだったねえ、はなちゃん。ビスケットも食べたねえ。おにぎりを作ったら、その海苔を食べちゃったねえ。
はなちゃんとりぼん、おまえたちは、姉妹です。おまえたち姉妹が、りぼんの家とはなちゃんの家の縁を創りました。わんこが人の縁を創ってくれて、そいで先に逝ってしまったのです。だから、残ったニンゲンの私たちは、この縁を大事にしなければ、と考えています。
本当になにもかもありがとう、りぼん、はなちゃん。今頃はきっとあの世でふたり、楽しく遊んでいるでしょう。はなちゃんが好きだったゆでたまごも、りぼんが好きだったスペアリブの骨も、きっと食べ放題だね。

第30話へ続く