三頭の娘たちを相手に奮闘する「犬(いぬ)型人間」の「かあちゃん」のエッセイです。どうぞ読んでやってください。文字が小さくて読みにくかったら、ブラウザの「文字の拡大」をしてみてくださいな。

犬の話 第32話 「うらんとのお別れ」

りぼん ブルマスチフ 花も恥じらう(?)乙女 2005年1月25日生まれの当家の三女。名前は「リボンの騎士」の主人公、サファイア王女から。一日中寝ている巨大なわんこ。2013年4月9日に亡くなりました。ありがとう、りぼん、愛してるよっ!

りぼん(二代目) グレートデーン わんぱく、やんちゃ、わる坊主 2013年4月16日生まれの当家の三女。名前は前のりぼんと同じで「リボンの騎士」の主人公、サファイア王女から。ふたりの姉ちゃんわんこととうちゃん、かあちゃんの5人で布団で寝ていましたが…これからうらん姉ちゃんがいないなんて

うらん ラブラドールレトリバー 2000年4月16日生まれの当家長女。名前の由来はもちろん鉄腕アトムの妹ウランから。「ごはん」と言えることが特技です。(ほんとに言えるんですよ!)2013年9月6日に天国に逝きました。
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ぴのこ ゴールデンレトリバー2001年12月生まれの当家次女。名前はブラックジャックのおくたんのピノコから。食に執着し、ボール探査の超能力を持つ。

今回は、犬型人間のかあちゃんに変わって、犬好き人間のとうちゃんが書きます。
今年、4月に愛娘のブルマスりぼん(初代)を失って、悲しみの生活を経験した、かあちゃんととうちゃんですが、その後、二代目のグレートデーンが我が家に来てくれたことで、明るい家庭を取り戻した我が家なのでした。
ところが、ぼくにとっては、特別な存在で、いつもぼくと寄り添うように暮らしていた長女のラブラドールレトリーバの”うらん”が、この9月に、静かに息を引き取りました。
下の絵は今年の正月に年賀状として描いた我が家の情景のイラストですが、真ん中の小さいコがうらん、その横の黒い大きいのが初代りぼん、左がぴのこです。今年、ぼくたちは2つの命とお別れをしたんです。つらいです…。ぴのこ、いつまでも元気で居てね。

うらんとの思いで

ぼくとかあちゃんは再婚です。ぼくが離婚をして独りだった頃、うらんはまだ子供でしたが、いつもぼくの仕事からの帰りを暗い家で待っていてくれて、だから、うらんも寂しかったのでしょう、夜はふたり、くっついて寝ていました。うらんは、ぼくのことを大好きで居てくれて、ぼくはそのうらんの気持ちにどれだけ癒され、元気づけられたか…。
その頃のある日、こんなことがありました。ぼくは、「今度の週末の休みになったら、とうちゃんとオベントもって歩きにいこうな」と、うらんと約束したのです。ところが、その週末に、予定が入りそうになってしまいました。その相手の人にぼくは「だめなんです。今度の週末は、犬とハイキングの約束したんですから。」と理由を言いました。相手の人は、「誰と約束したって?犬と?はあ?」とあきれていました。でもぼくには大事な約束だったんですね。きっとうらんも楽しみにその日を待ちこがれていたはずです。
ハイキングですか?それはもう最高に楽しかったですよ。犬も人間もおたがいの楽しい気持ちはわかりますもん。ふたりは心の底から楽しんでいました。
初代のブルマスのリボンがきた時に落ち込んでいたこと、机の上のみかんを盗んで口の中にふたつも隠していたこと、夜中にボーイフレンドのわんこと駆け落ちしたこと、乗っていたハーレーのシートや電装のケーブルを噛んで大損害をだしたこと、コンテストで優秀賞をもらったヒコーキの模型を噛み砕いたこと…いまではみんな良い(?)思いでです。ぼくにとってはかけがえのないコでしたから。

夢に出てきたうらん

何年か前のある晩の夢にうらんが出てきました。ぼくとうらんは手をつないで草原のようなところを歩いていました。ぼくはどこかへ行ってしまったうらんを迎えにいったようで、家へ連れて帰るような感じの状況です。そのとき、うらんに向かって「おうちに帰りたいんか?」と言うような意味のことを言ったと思います。うらんはぼくに向かって「お手伝いするからいっしょに帰る」と言ったのですが、幼い女の子のような声でした。夜が空けて、忘れないようにさっと描いた絵が残っています。下の絵がそれです。でも、お手伝いをするという約束はまだ実行されていないよ、うらん。。

このところ寄る年波には勝てず、寝ていることが多くなり、やがて、足腰が弱くなって、しだいに衰えが目立つようになっていました。下の写真のうらんは、デッキでゆっくりしているところです。おだやかな顔ですよね。このまま、あと何年もいっしょに暮らせることを願っていました。

うらんは3日間のお別れの時間をくれました。

うらんは最期まで親孝行でした。最期の日の3日前に自力で歩けなくなり、二日前にごはんをあまり食べなくなり、その日は最期の瞬間までぼくらの腕の中ですごしてくれて、夜の11時15分に息を引き取りました。わずか3日だけ寝込み、しかし、3日間というお別れの時間をしっかり与えてくれて、最期の日は命の灯の消える瞬間までぼくらに甘えてくれました。
下の写真は、うらんの最期の日、かあちゃんが足をマッサージしているところです。ぼくの姿が見えなくなると、クーンと鼻を鳴らして甘えていました。この日、かあちゃんとぼくがずっと傍にいてやれたのです。うらんは14年と半年たらずの一生でした。

いつも元気で、健康優良児だったうらん、いちど風邪を引いたきりで病気にもかからずお医者さまにもいかず、やさしくて、陽気で、うちの長女で、とうちゃんのトイレにも風呂にもいつも付合ってくれたぼくのうらん。うらん、ほんとにありがとう。 また会いたい!
第33話へ続く